初めて読んだ高嶋哲夫さんの作品。平成11年発行の単行本で、第16回サントリー・ミステリー大賞に輝いたと表紙に印しています。後にテレビドラマ化されたらしいです。
イントゥルーダーとは侵入者。クラッカーやハッカーも含めてコンピュータに入り込んで来たもの、と本書ではしています。
関東電力は新潟県に日の出町原子力発電所(加圧水型軽水炉、出力百九十万キロワット)の建設を進めている。イントゥルーダーは関東電力のコンピュータに侵入し、公表されているその原発に関するデータが改竄されていることを知る。
現在の設計ではマグニチュード7の地震には耐えられない。電力会社は設計変更による経済的負担と、原子炉の耐用年数とする今後50年間に起こるM7以上の地震の確率を比較して経済効率のほうを優先させた。
電力会社のコンピュータはいとも簡単に侵入を許してしまう。それは侵入者がそのコンピュータ設計に関わっていたからで、この点が少し安易な展開に感じました。
終盤はミステリーらしい思いもよらぬ展開が幾つかあって、時間を忘れて一気に読んでしまいました。
その一つ、原発反対派の幹部が建設をスムースに進めるために世論を操作していた。彼は自分の事をコントローラーだと言うが、この人物も反対派への侵入者、イントゥルーダーです。
3.11以降表面化した国や電力会社のやらせ問題を知った今、原発反対と言いながら実は電力会社と裏で繋がっている人が、小説の中だけではなく現実にいても不思議ではないと思える。
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