再稼働否定的 マスコミが絶対に伝えない「原発ゼロ」の真実

マスコミが絶対に伝えない「原発ゼロ」の真実 三橋貴明
マスコミが絶対に伝えない 「原発ゼロ」の真実

三橋貴明さんの2014年発行の著書です。3.11以降に吹き出してきた電力問題、具体的には再生可能エネルギーとFIT、発送電分離や電力自由化や電気料金上昇、エネルギー安全保障、原発の放射線や汚染水等、を解説して、原発を動かそうと諭す本です。分かりやすく、具体的な数値も示しながら書かれているので、それらの問題の理解が深まりました。が、まだどちらかと言えば再稼働に否定的です。

と言うのは、原発に対する信頼が持てないのと、放射性廃棄物の処理方法が不確定だからです。この本にも「安全神話的ではなくなった原発規制」として、安全性がアップしたと書いていますが、コアキャッチャーやフィルターベントを装備していないのは安全性が不十分です。避難計画の実効性も疑問です、が、本書にはそこらへんの解説がないです。

本書は、「原発はトイレのないマンションなどではない」と言う。その根拠は地層処分が技術的に可能なことです。私は、地下に埋めて時間が経つのを待つというのではナンセンスと感じます。放射能を無害化する技術を早く実用化すべきで、それがあれば原発は使用に耐えられると思います。

上昇した電気料金は、再稼働しても下がらないと思います。幸い現時点でLNGは値下がりしてきていますが、燃料のアジアプレミアムを解消する努力をしないと。本書で示しているその対策「日本の電気料金を引き下げたいのであれば、国内のLNGの需要家(買い手)たちが結束するのが最も手っ取り早い」も有効と思います。ただ、ことはそう簡単に運ばず、自前の資源を開発したり再エネの能力を上げて交渉力をつけていきたい。

電気が電池に貯められるようになったことで、再エネも有効に使えるようになる。蓄電池の値段は、本書でも示している再エネ余剰電力の吸収をNAS電池で賄った場合のコスト試算で使った単価は1kWhあたり4万円ですが、日本ガイシのインタビュー記事などを読むと2万円台まで持っていけそうです。あと、テスラモーターズが開発したような格安の家庭用蓄電池も今後も出てきそうです。

ただ、本書でも問題を呈していますが、FITはやはり疑問が残る制度です。買取価格は、見直されていくようですが、高いし太陽光優遇しすぎている。地熱・水力・バイオマスといった安定電源が増える方向に持っていってほしい。

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