夜より遠い闇 北方謙三

北方謙三さんの「夜より遠い闇」を読みました。光文社文庫から2000年に発売された初版です。ジャンルはハードボイルド小説ですので乱闘シーンが何度もありますし、ナイフで口を耳元まで割いたりする残酷な場面もありました。

拳銃は登場せず、主人公の村上洋一の武器もナイフです。車のサスペンションのスプリングコイルを潰して作ったもで、必ずしもかっこいいとはいえない。ですが砥ぐと切れ味もよく、緊迫した場面で使い込んでいくと馴染んでくる。砥ぎ方は母親の愛人だった爺さんが教えてくれた。闇の世界で死神と化した主人公にとって重要なアイテムなのですが、最後には「そいつはもういらねえんだ」と。

主人公はビデオ店を経営していて、結婚式場で撮影の仕事も請けている。新郎新婦にとっては一生に一度の大イベントでも、何度も何度も撮影している方にとってはひとつの仕事に過ぎず、しかも毎回同じようなことの繰り返しで刺激が無ない。比べて闇の世界での裏の仕事は、この本の帯にも書いているヒリヒリするような一瞬の生を感じられる。刺された遠藤が「いい眼、してるぜ、村上。これぞ男って眼だよ。」と。

あと、登場する女性陣も個性的で一本筋が通っています。以下、カバーにある紹介文です。

強請りに行ったバーテンの水田に逆に叩きのめされてしまったビデオカメラマンの村上洋一に、水田の客だという男が仕事の話を持ち込んできた。男が情報を流し、洋一と水田が組んで、金を奪うのだという。洋一は加わる決心をした。危険の中にあるヒリヒリするような一瞬の生!血と暴力を通して自らを発見、成長していく男の姿をリアルに描いた、傑作ハードボイルド

関連ページ:遠く空は晴れても 北方謙三

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