実業之日本社から2017年9月に発刊された、馳星周さんの作品です。
小説の舞台は、北海道東部の川湯でした。
先住民族アイヌと、東京電力福島第一原発事故という、全く関係がなさそうな事柄が絡んで、話が展開していきます。
主人公は、それまで全く知らなかったアイヌの伝統文化や考え方に接することで、人そして覚醒していく、民族愛溢れる話でした。
覚醒した主人公が至った考えは、以下のようなこと。
「人の罪を罰するのは神様の仕事。人にできるのはゆるすことだけだ」
「原発の事故は東電のせいではなく、日本人全員に責任があるのだ」
特に事故前は多くの人が、恐ろしい未来に思いを巡らせること無く、刹那的に原発で作られる電気を使って生活を謳歌していた。
原発は危険な物なので、関心を持って注視する必要があったのに、それを怠った日本人全員に責任があると言う。
確かにそうかも。私も、廃炉作業も含め原発に無関心にならないようにします。
ただ、「人にできるのはゆるすことだけ」と言うが、ゆるせない気持ちも分かる。
原発事故の避難者らが、事故から12年経過した今も、東電と国の責任を追及している。
あと、話の中で、クマやオオカミなどのアイヌの木彫り作品を絶賛している。
興味がわいたので、ネット上の写真で少し見ました。実物にお目にかかる機会があればいいのにと思いました。
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