小松左京さんのこの作品を文庫本で読みました。徳間文庫の1986年11月 初刷本です。この小説は映画化されましたので、この本の帯と挟んであったしおりも「62年1月17日(土)大公開!」と宣伝していました。
第6回日本SF大賞を受賞したこの小説は、ある日突然、何の前触れもなく東京が雲のような物に覆われてしまったという設定です。
その範囲は半径約30km、高さ1000mという広さで、その中と外は交通手段や通信等々完全に遮断される。話の展開は外側で進んで行き、遮断された東京がどうなっているのかは全く書かれていません。
雲のような物とは何なのか。国際的な調査の結果、未知の宇宙文明によって送り込まれた一種の自動的観測装置ではないかとの見解になる。
が、ある日突然それは消えてしまいます。その間およそ4ヵ月半。もし東京が消えるとこうなるかもしれない事がシミュレートしてあります。
政治の中枢を失って混乱するのは必至。そなか、外国からも圧力が掛かってくる。この小説はソ連が日本周辺で大規模な軍事訓練を行なって威嚇してきます。東京から流れ出るお金や物、情報が余りに多くて、それが止まると地方は枯渇する。
最近、首都直下地震の可能性が高まっているとよく言われていますが、もしそれが現実となれば書いてあるのと似たような事になりえるのかと思いながら読んでいました。ちなみに、新首都は大阪ではなくて名古屋に決まりそうでした。
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