鳴海章 作品

戦闘機で空を飛ぶなど一般人にはなかなか出来ない事ですが、鳴海章さんの航空小説を読んでいると自分がコックピットに座って戦闘機を操縦しているような気分になります。しかし自分で実際に戦闘機を操縦したいとは決して思いません。せいぜいフライトシミュレータで遊ぶていどです。

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読んだ本

マルス・ブルー ゼロと呼ばれた男
ネオ・ゼロ スーパー・ゼロ
ファイナル・ゼロ 蒼穹の射手
五十年目の零戦 撃つ
成層圏の標的 国連航空軍 サハリン空中戦
D ロック シャドー・エコー
ハインド・ゲーム ファントム無頼列伝
ナイト・ダンサー ラストフライト
国連航空軍 「ユニコーン」出撃指令 荒鷲の狙撃手
真珠湾、遥かなり 零戦隊血風録 謀略航路
全能兵器AiCO

マルス・ブルー

マルス・ブルー

小松基地を緊急発進した二機のF-15のうち一機が崑崙共和軍に逃亡し、7年後に日本に舞い戻ってくる。操縦するのは景坂志朗3等空佐です。マルス・ブルーとは山村医官が報告書の中で景坂の心情を表現するのに使った言葉で、軍神の憂鬱という意味です。飛行教導隊にも所属していた凄腕パイロットの彼にとって、専守防衛を基本とする自衛隊の任務には不満があった。

彼が目指すのは原発だった。直ぐに自衛隊もスクランブル機を上げて迎え撃つ。かつての盟友の問いかけに対して景坂は「世界大戦のまっただ中だってのに天下太平の居眠りを決めこんでいるわが愛すべき祖国と、航空自衛隊諸君の目を覚まして差しあげようと思ってね」と。ここから3機のF-15による真剣勝負が始まる。景坂はこの時を待っていた。そしてファイターパイロットのまま死ねる。物語は複雑に絡み合った陰謀の下に進んでいき、最後は思わぬ展開で終わる。

(講談社 刊)

ゼロと呼ばれた男

ゼロと呼ばれた男

「おまえは、ソ連機を撃ち落とせるか?」バーンズの挑発に、”ゼロ”と呼ばれた男は静かに目をそらした。しかし、幻の撃墜マーク二個を持つその男、航空自衛隊一等空尉・那須野治郎は、次に自らがなすべきことを知っていた。

(集英社文庫 刊)

ネオ・ゼロ

ネオ・ゼロ

ホワイトハウス緊急対策室が決定した命令は核施設爆撃。蘇った新零戦(ネオ・ゼロ)のファイター・パイロットは? コンピュータがはじき出した適任者はジークこと那須野治朗。各国の策謀の渦巻くなか、生と死、その狭間でしか自己を実現できないジーク・ザ・キラーは大空へ飛び立つ。”ゼロ・シリーズ”第二話。

(集英社文庫 刊)

ネオ・ゼロについて

次期支援戦闘機FSXの開発は国産から共同開発に変更となった。しかし開発責任者で航空自衛隊空将補の決断で研究は進められた。その結果完成した実戦可能な国産試作品。フェーズドアレイ・レーダー、自動航法装置、360度視界で暗闇でも飛行可能にするスーパービジョンなど新技術搭載。

機体にはレーダー波を吸収する磁性体が塗られ、表面はツヤのない黒。垂直離着陸機能を持つ。そのため全体的な印象はハリアーに似ている。サイズはハリアーより二回りほど大きく、全幅はイーグルをわずかに上回る。機体の40パーセントはCFRPでできている。

エンジンは国産が間に合わず新型ペガサスXを搭載。アフターバーナーを持たず最高速はM1.2、巡航速度はM0.7。機動性は従来の戦闘機をはるかに上回る。推力ベクトル変換によりトムキャット、イーグル、ハリアーより小さく速く旋回が可能。ハードポイントは両翼で六ヵ所、胴体下に一ヶ所。二十ミリバルカン砲一門搭載。

スーパー・ゼロ

スーパー・ゼロ

究極の電子兵器”スーパーマンの目”は、人間の脳とダイレクトにアクセスすることができる超思考・電子感応装置である。これを組み込んだ新型戦闘機を開発しようとする米空軍の危険な野望を阻止するため、あの、ゼロ・チームが再び結集した。

(集英社文庫 刊)

ファイナル・ゼロ

ファイナル・ゼロ

ホワイトハウスが麻薬撲滅に立ち上がった。南米にコカイン帝国最大の基地を爆撃する密命を受けた退役将軍バーンズは、作戦の実行者に宿敵にして最良の友、那須野治朗を選んだ。乗機は「ネオ・ゼロ」。しかし、苦心して運搬した「ネオ・ゼロ」を敵に爆破され、那須野は、絶体絶命の窮地に追い込まれる。そこで彼は最後の賭けに出たーーゼロ・シリーズ感動の最終話。

(集英社文庫 刊)

蒼穹の射手

蒼穹の射手

日本がカンボジアでのPKO活動に踏み出した頃、航空自衛隊千歳基地に一人の男が着任した。真田二等空尉、戦闘機パイロットである。彼が搭乗を命ぜられたのは、コックピットの装備がこれまでとはまったく異なるF15イーグル。一部の政治家、防衛産業、空自OBらによって極秘に開発されたこの機体は、夜間低高度侵攻能力と核装備能力が与えられていた・・。大空に憑かれた男たちの過酷な任務と運命を描く航空冒険小説。

(角川文庫 刊)

五十年目の零戦

五十年目の零戦

昭和20年8月16日、厚木海軍航空隊基地から、2機の零式艦上戦闘機が飛び立った。目的地は十勝の秘密基地。徹底抗戦を表明した航空隊指令の密命を受け、”そのとき”がくるまで機体を温存するためだった。しかし戦闘飛行に出ることなく、機体は十勝平野の片隅で眠りつづけることになった。   それから50年、ひとつの夢を共有する男たちの手で、零戦再生計画が動き始める。本格航空小説。

(集英社文庫 刊)

撃つ

自衛隊機が、日本領空に接近したロシア偵察機を誤って撃墜、ロシアと交戦状態に突入した。すでに日米安保条約を破棄、孤立していた日本に対し、ロシア軍は北陸地方に上陸。ロシア軍の圧倒優位のなか、たった一人残された自衛隊の狙撃兵・次頭武顕の熾烈な戦いが始まった! 戦場でしか生きられぬ男の孤独な戦いを圧倒的な筆致で描く、会心の冒険アクション小説!

(光文社文庫 刊)

成層圏の標的

平成維新をめざす政官財界の一部勢力が航空自衛隊F15イーグル戦闘機に密かな改造を加え、夜間低高度侵攻と核搭載の能力を付与した。政界再編で一度は政権を失った彼だが、この機体を使って朝鮮半島有事を演出し、その混乱に乗じて権力の奪回を図ろうとする。危険な謀略を知ってしまった空自のパイロット真田と、その身辺に迫る謎の暗殺者。ある境界を越えてしまった男たちの壮絶な闘いを描く傑作航空冒険小説。

(角川文庫 刊)

国連航空軍 サハリン空中戦

国連航空軍 サハリン空中戦

ニューヨーク発のジャンボ機が離陸直後に爆発。犯行声明を出したハッカー組織は、日本に向かって飛行中の同型機にも爆弾を仕掛けたと告げてきた。折りしも、航空自衛隊千歳基地では、政府専用機を用いた日米ロの三空軍共同の秘密作戦が進行していた。組織は極秘のはずの作戦に対して、民航機を人質に航路変更を要求してきた。第一人者が描く緊迫のエア・サスペンス。

(ケイブンシャ文庫 刊)

D ロック

D ロック

D-loc!すべての計器が一瞬にして消えた!VIPばかり三百人を乗せた最新鋭機B747-550に緊急トラブル発生。FADEC(全自動デジタル電子制御)2エンジンはコントロールを失い、一縷の望みはすべての計器をシャットダウンし、エンジンをリスタートさせる以外にない。しかし、高度四万フィート、五百ノットのスピードで、果たしてそれが可能なのか?航空機サスペンスの第一人者が放つ、超緊迫アクション!

(徳間文庫 刊)

シャドー・エコー

完全ステルス、多くの戦闘機・爆撃機を空中指揮するアメリカ空軍の秘密兵器「シャドー・エコー」。あまりに建造費用がかかるため、開発が中止されたはずの空飛ぶ電子要塞が、大統領さえ知らぬ間に、日本・ロシア国境へ忍び込んだ。日米ロ三国にまたがる国際謀略戦を乱歩賞作家が壮大なスケールで描き出す。

(講談社文庫 刊)

シャドー・エコーについて

米戦略空軍が開発した次世代電子戦闘機。ミサイルではなく情報で戦争する戦闘機のようです。敵の情報収集と、敵の情報収集手段を無効にする。小説では民間機撃墜事件を起こし米ソ間の緊張を高めようとする組織に悪用される。緊張が高まる事で得する人がいる。シャドー・エコーの必要性が高まる。

(以下小説文より)
ベース機はボーイング747‐400。八基のエンジンを搭載し、エンジンポッドは主翼の中に埋め込まれている。垂直安定板は無く水平尾翼の上反角が大きくなっており、巨大なV字を形成している。V字尾翼。機体全体にレーダー波吸収塗料を覆ったステルス機。フェーズドアレイレーダーや合成開口レーダー、水平線を超えて敵を探知するOTHレーダーとのリンクシステムを搭載。戦場において三軍を指揮する能力を持つ。米軍で最強の電子防御装置で武装している。武器こそ積んでいないが電子の要塞、空飛ぶイージス艦。

ハインド・ゲーム

ハインド・ゲーム

十二・七ミリ銃弾が曳光弾の帯となって操縦席付近に吸い込まれていく。一瞬、赤い霧が噴出したように見えた。 キャッシュで十万ドル。破格な報酬を条件に引き受けた仕事は、ロシアの攻撃ヘリ・ハインドを駆って北朝鮮に潜入し、ある人物を連れて戻ることだった。元陸上自衛隊のエリート・ヘリパイロットが遭遇する、ハインドvs.ミグー21、ハインドvs.ハインドの壮絶バトル!

(徳間文庫 刊)

ファントム無頼列伝

ファントム無頼列伝

搭載された二基のエンジンが鳴動しシャトルがリリースされた瞬間、F-4EJファントム改は蒼穹を翔昇る。最新鋭機に比すると絶対的な性能では劣るものの、空中戦は機の性能では決まらない。パイロットの技量とチームワークがすべてなのだ。男の意地と誇りを賭け、野生の獣のごとく敵に挑むファントム・ライダーたちの生き様を活写する本格航空小説。

(ケイブンシャ文庫 刊)

感想

原子力空母信濃シリーズの短編集。主人公は航空自衛隊ファントムライダー。ファントムは長く運用され続けている戦闘機。1958年初飛行。作者はファントムがお気に入りのようだ。ファントムが登場する原子力空母信濃シリーズは多く発刊されている。お気に入りのファントムの取材量も多いようだ。この小説でも空中戦のシーンや、ファントムのエンジン始動手順など細かく書かれている。

空中戦のシーンを読んで飛行機がどういう状態になっているのか想像しようとしても分からない部分が多い。経験が無いから。作者は有るのか。エンジン始動手順をそこまで詳しく書かなくても、と言われそうだが、飛行機好きにはそれが良い。

作者の小説では登場する航空自衛隊のパイロットにタックネームが付けられる。タックネームは空中作戦の時お互いに無線で呼びかける固有のコールサイン。実際に航空自衛隊のパイロットが使っている。この小説でもゴリ、アイスマン、ジーク、ラッコ、DJ、リーチ、バンジ、ポン、ターキー、コメット、チーター、ロン、パボ、ナット、ベチ、シン、マイト、ジョッカー、アジャ、キャット、オズ、ホイ、バブルス、トラ、など多くのコールサインが使われた。

ナイト・ダンサー

ナイト・ダンサー

M航ジャンボ機の貨物室から、アルミ合金をとかす特殊細菌があふれだし飛行困難に。その菌をめぐる国際陰謀の渦のなか、米海軍戦闘機はM航空機撃墜にむかい、航空自衛隊機が緊急発進。謎のジェット機ナイト・ダンサーをまじえ、息づまる空中戦が展開される。
第37回江戸川乱歩賞受賞

(講談社 刊)

感想

いつも文庫本しか買わないが古本屋で単行本を見つけ、買ってしまった鳴海氏のデビュー作。ぜひ読みたかった。内容盛りだくさん。戦闘機の空中戦、旅客機のパニック、日米間の陰謀、恋愛などなど。そのためか主人公が誰なのか分からない。又、特殊細菌をめぐる陰謀の全体像が読み返しても良く分からない。読後、少し消化不良の感じが残る。江戸川乱歩賞受賞作品。読者が推理する必要が有るのか。

登場する飛行機は航空自衛隊F15/F4/E2C、米海軍F14、民間機B747。陸上自衛隊AH64アパッチヘリも登場。自衛隊は大活躍。F14の放った長距離ミサイルを、E2Cとのデータリンク誘導によるF15の放った長距離ミサイルで撃墜。両者共に最強の戦闘機と言われるF14vs.F15の空中戦でF14を撃墜。しかしF15も傷つき、ナイト・ダンサーとの空中戦で敗れ墜落。AH64は撃墜され、E2Cも悲しい最後を迎える。

民間機パイロットも、特殊細菌に犯されてひん死の状態のB747を神技的な操縦で着陸させる。1985年、御巣鷹山にB747が墜落。墜落機のパイロットたちが傷ついた機体を超人的な技で操縦し、4人の命を救ったことに感銘した作者が思いを込めて描いたようだ。

空中戦のシーンは、このデビュー作から鳴海氏独特の迫力があった。又、飛行機などに関して不要とも思えるほど細かい記述。これも鳴海作品の特徴。これが良い。

ナイト・ダンサーとは航空自衛隊員に身を隠していた秘密工作員でF15のパイロット。最後は撃墜されるが死んでいないようだ。後刊の「荒鷲の狙撃手(イ−グル・スナイパー)」に登場する。

ラストフライト

ラストフライト

ファントム・ライダーとして数々の戦歴を誇る松本栄治は、四十歳を迎え、一線を退こうとしていた。そのラストフライトの日、松本の脳裏に蘇ってきたのは、中南米での人質奪還作戦飛行のことだった。実戦では先に敵機を発見した方に勝機がある。松本は自分の眼だけを信じ、勝ち残ってきたのだ・・・。意地と誇りを賭して蒼穹を駆けるライダーたちの物語。本格航空小説。

(ケイブンシャ文庫 刊)

国連航空軍 「ユニコーン」出撃指令 上

国連航空軍 「ユニコーン」出撃指令 上

ラオス上空を飛行中のボーイング767が、突然現れたミグ21によって撃墜された。アジアの一角に、麻薬資金を背景にし、強大に武装化されたテロ組織が出現したのだ。すぐさまアメリカは、国連航空軍の創設を各国に働きかけ、日本にも偵察機ファントムRF-4Eの派遣を求めてきた。複雑に絡み合う各国の思惑・・・。第一人者が緻密に描く緊迫のエア・サスペンス。2005/10/17

(ケイブンシャ文庫 刊)

国連航空軍 「ユニコーン」出撃指令 下

国連航空軍 「ユニコーン」出撃指令 下

黄金の三角地帯に突如出現し、民間航空機を撃墜した小国家並みの武力を保持するテロ組織に対抗すべく、米主導で編成された国連航空軍は、日本を始めとする各国協力の下、その陣容を整えつつあった。しかし日本人パイロットらが操る組織のミグ21に、国連軍は苦戦を強いられた・・・。アジアの蒼穹に交差するファイターたちの誇り。本格テクノ・サスペンス完結篇。

(ケイブンシャ文庫 刊)

荒鷲の狙撃手 上

荒鷲の狙撃手 上

自衛隊の中に「ウルフ・パック」と呼ばれる地下組織がある。この組織は自衛隊を「日本軍」とするため、密かにクーデターを計画しているのだ。そんな中、対馬近海で新たに油田が発見された。利権を巡り、日本と中国は武力衝突の危機を迎える。クーデターは成功するのか?日中戦争は?軍事テクノ・サスペンス。

(講談社文庫 刊)

荒鷲の狙撃手 下

荒鷲の狙撃手 下

対馬近海の小島「二宝島」を巡る、日中の武力的緊張は、ついに戦車戦へと突入した。国内各地でもコンピューターを使ったパニックが発生。その混乱に乗じ権力集中を目論む、時の首相。アンチ首相派に請われ、彼の命を狙う特殊工作員。対峙する二人には意外な関係が・・・。危機管理に警鐘を鳴らす、話題の小説。

(講談社文庫 刊)

真珠湾、遥かなり 零戦隊血風録

真珠湾、遥かなり 零戦隊血風録

昭和十六年十二月八日。若き飛行兵たちを通して描く、長く短い真珠湾攻撃の一日。海軍鹿児島基地での猛特訓。ハワイ空襲部隊旗艦『赤城』より出撃する九七式艦上攻撃機他。目も眩むような昂ぶりとたとえようのない恐怖…。渾身の長篇大作。

(徳間文庫 刊)

この作品はフィクションなので、赤城所属の零戦AI-159を駆って第一波攻撃に参加した斉藤信次や同じく第一波雷撃隊の九七式艦上攻撃機AI-319に搭乗する近藤太一、鈴原二郎など架空の人物が設定されています。だが、実在した人物も登場します。

中でも第二波制空隊の飯田大尉がカネオへ基地の格納庫に突っ込んで自爆するシーンは印象的。その飯田大尉の零戦にダメージを与えたのは、米兵が映画のランボーの如く地上で仁王立ちになって撃ちまくった軽機関銃だった。これは事実なのか?

米パイロットや政府目線も含めて真珠湾の攻防を広く書いているので場面がコロコロ変わる。なので何度か読み返した方が理解が深まる。空母からの発艦シーンやドッグファイトの場面は詳しく書いてある。このリアル感を出すために必要だったのか、巻末に参考文献がずらっと記されていた。

謀略航路

謀略航路

音速の狩人Mig29。にらまれたら逃れられない。元航空自衛隊パイロットVS.シリア共和国空軍エース。航空軍事サスペンスの旗手が描く、ありうべき世界の危機。

(講談社 刊)

ヨーロピアンスカイヒーローESH945便・B737-500がシリア領空を侵犯したとして、シリア空軍Mig-29によりアレッポ国際空港に強制着陸させられてしまう。その救出作戦で活躍するのは元航空自衛隊のパイロットたちで、トルコ空軍のF-4ファントムを飛ばします。

見せ場は終盤のMig-29とF-4&B737-500の空中戦です。F-4はAIM-9Lサイドワインダーを、Mig-29はR60を装備。いずれも古いタイプですが、ミサイルはF-4に少し分がある。しかし、両者の機動性は雲泥の差。それを腕と737との見事な連携でカバーする。ただ、マッハ0.8を超えて急降下するなど、737とその乗員乗客は旅客機として有り得ない機動を強いられる。その際に機長は、「耐えてくれ、ビースリー、お前ならやれる」、と。

小説はフィクションで上記の空中戦も現実味薄いです。が、物語に登場する、内戦で苦しむシリア住民や子供たちの様子は自分の想像を絶するものですが、現実ではと思いながら読みました。

全能兵器AiCO

全能兵器AiCO

日本初のステルス戦闘機誕生を目指して開発されている先進型技術実証機ATD-X(通称・心神)。プロジェクトに参加した航空自衛隊の郷谷良平が聞かされる、戦闘機最大の弱点とはパイロットの存在そのものだった。

(講談社 刊)

この小説に登場するのは、人工知能が駆る戦闘機で、人間不在なことで超高機動が可能なうえ、ステルス機能も備える。優秀な戦闘機パイロットの多くの飛行記録をデータベースに持ち、空中戦においても最適な軌道を瞬時に判断する。ただ、人間が操縦した戦闘データでは、AI戦闘機にとってはそれが弱点にもなる。それでもAIは“私”という概念に気づくと、無敵の全能兵器に進化していく可能性がある。